キアシシギ(黄足鴫、学名:Tringa brevipes)は、チドリ目シギ科に分類される鳥の一種。シギの仲間である。その名前の由来は、足が黄色いことから。以前はキアシシギ属とされていたが、最近の研究でクサシギ属とされた。

分布

シベリア北東部やカムチャツカ半島などで繁殖し、冬季は東南アジア、ニューギニア、オーストラリアに渡りをおこない越冬する。

日本では旅鳥として、北海道から沖縄までの各地で、春は4月から5月、秋は他のシギ・チドリよりも早く7月下旬から観察され始め、10月ごろまでごく普通に観察される。九州や南西諸島では、越冬する個体もある。

形態

全長は約25cm、翼開長は約55 cm。成鳥夏羽は、体の上面が灰褐色で眉斑、頬、体の下面は白色。顔から頸にかけては灰褐色の縦斑が、脇から胸にかけては横斑がある。成鳥冬羽は、体の下面が淡い灰褐色になり、体の下面の斑は不鮮明になる。

雌雄同色である。

足は黄色で、他のシギに比べて短めである。嘴は黒く、基部は灰色がかった黄色。

生態

非繁殖期には、砂浜や干潟、磯、水田などに生息する。群れで行動することが多い。海岸部からかなり離れた河川でも観察されることもあるが、この場合、単独か多くても数羽のことが普通である。繁殖期は樹木の疎らな草原や川原、小石が混じったツンドラ地帯に生息する。

水深の浅い場所を歩きながら、カニや昆虫類などを食べる。防波堤、テトラポット、海岸の石の上などで休む。

地上に営巣するが、木の上のツグミの古巣に営巣した例もある。20世紀始めまで、本種の巣は未発見だった。通常4卵を産む。

ピュイピュイとすんだ声で鳴いたり、飛びながらピュイーと鳴く。

種の保全状況評価

国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている。

日本の以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている

  • 絶滅危惧II類 - 東京都(区部、北多摩、南多摩、西多摩)、神奈川県(非繁殖期)
  • 一般保護生物(C) - 千葉県(環境省の絶滅危惧II類に相当。旅鳥として、干潟や湿地に飛来する。)
  • 準絶滅危惧 - 京都府(近年飛来数が減少している。)、大阪府
  • 希少種 - 滋賀県(環境省の準絶滅危惧に相当)

近縁種

  • オオキアシシギ Tringa melanoleuca
  • コキアシシギ Tringa flavipes
  • メリケンキアシシギ Tringa incana

脚注

参考文献

  • 叶内拓哉、安部直哉『山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥』(第2版)山と溪谷社、2006年10月1日。ISBN 4635070077。 
  • 真木広造他 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年
  • 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年
  • 中川雄三(監修) 編『ひと目でわかる野鳥』成美堂出版、2010年1月。ISBN 978-4415305325。 

関連項目

  • アオアシシギ
  • 日本の野鳥一覧

キアシシギ(2019.10.14) 日本の野鳥識別図鑑

キアシシギ

キアシシギ(2020.05.31) 日本の野鳥識別図鑑

キアシシギ (山国川の鳥図鑑)

キアシシギ ほこぼこ日記